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アンチエイジングは日常生活から
アンチエイジングの目的と健長寿をまっとうするための22か条(後編

はじめに

みなさん、こんにちは。前回、アンチエイジングについてお話をさせていただきました。
その中で、アンチエイジングで一番大切なことは、日常生活でそれぞれの方ができる範囲で、幸せに楽しくできることから生活改善をはじめる事が大切だとお話させていただきましたが、今回は実際にそれらを実践し、健長寿を全うしている方々を、ヨーロッパ抗加齢医学会講習会で話された「健長寿をまっとうするための22か条」とあわせてご紹介したいと思います。

⇒ 「アンチエイジングは日常生活から(前編)」はこちら

健長寿をまっとうするための22か条

1.生きるという意志: 年老いていくことへの勇気づけ

どんなに年老いても生きることへの強い意志を持つこと。
あきらめてはいけません。人生は生きることにこそ価値があり、できる範囲の中で人生を謳歌しましょう。

2.順応性 (適応能力)

変化していく環境の中で順応していく力があること。
それは、逆境に立ち向かい、挑戦するための力ともなります。
歳をとると決まりきった毎日を過ごしがちですが、若いころと変わらないという意志をもちましょう。そして、年とともに起こる障害や肉体的、精神的な変化、さまざまな問題に順応しましょう。Eli FinnはFairfield 大学に通う100歳の学生として知られています。(Adler LP, Centenarians: The bonus years.,より引用)

Eli Finn

3.生きることの意義

有意義であり、生産的であることが重要です。
歳と共に肉体的・精神的に制限されることが多くなりますが、長生きしている人たちは、自分たちの経験をもとに、どのようにすれば問題に対応できるか、そして、人生を謳歌するためにどのように生活をし、人を愛すればいいかといったことについて示すことができます。
中には、趣味や興味を続けるところに生きることの意義を見出している人もいれば、ボランティア活動にその意義を感じている人もいます。また、子供の世話をしたり、ペットの世話をしたり、働くことに生きることの意義を感じている人もいます。

Donald Warren博士(poultry geneticist(鳥類遺伝学者))は102歳になっても、
日本で開催された国際学会に参加しました。
(Adler LP, Centenarians: The bonus years, より引用)

Donald Warren博士

4.活動的であること

長寿者の多くは、一日の5〜6時間はいろいろな活動をし、体を動かしています。
体は、使わなければ錆びついてしまいます。年齢のわりに激しい運動をしている人が多いのも特徴です。

長寿者の1/4は独立して生活していますが、ほとんどは施設ではなく家族と共に暮らしています。たった一人で暮らしている人は少ないのです。
また、仕事を続けていたり、リタイア後も別の仕事に就いたりと、本当の意味でのリタイアをしている人はいません。

長寿者Reverend Roy Millerは人生において、歳をとるほど体を動かして運動することは重要であると言っています。
例えばEduard Hanauは100歳になっても工場で働き、皆勤の記録を達成しました。
Beatrice Woodは有名な陶芸家ですが、40歳から陶芸活動を始め、99歳になっても世界中を飛び回っていました。Claire Willi は100歳になっても、ニューヨークのダンス教室に通っていました。Adler LP, Centenarians: The bonus years, より引用

Claire Will

5.前向きな姿勢

「生きることがとても楽しい」というように、人生を陽気に過ごすこと、精神的にも肉体的にも幸福に暮らそうという前向きな姿勢のことです。人生に生きる意義を見つけ、人間関係もよくなり、人生は価値あるものであると感じ続けることができます。
Myrtle Davenport 100歳 は12人の子供、38人の孫、32人のひ孫、1人の玄孫(やしゃご)に恵まれました。長寿者の多くは不安を抱えておらず、楽天的な方が多いです。

長寿者に見られる特色
□ 楽観主義
□ 興味のあることには何でも活発的に行動する
□ 障害に対する適応能力をもつ

6.ストレスや悩みを抱えない

不安を抱かず、ありのままに生きる。悩まない。

7.ストレスへの対応

いろいろな活動を行う。過度の疲労を避ける。
神に祈り、楽しみを感じながら遊ぶ。
例えば1日に2キロ歩くなどの適度の運動もストレスへの対応になりえます。

8.自己決断力

それぞれの自尊心や価値観によりますが、重要なことです。 自分自身で決断したことを行動に移すことによって、失敗した場合もあきらめずに、がんばる原動力となります。
頑固という意味ではなく、強い決断力をもつこと。
腕を組んで考えるより、実際にいろいろなことに挑戦すること。

9.よい精神状態を保つ

精神をよい状態に保つ。
男性は女性に比べて、90歳以上になっても精神状態が安定しているといわれます。
また女性に比べ、男性は認知症の発症が少ないです。

10.高い教育、教養を有する

平均的に収入が安定しており、社会的に高い地位にいる人が多いことから、生活面・精神面でも充実している方が多いといえ、それが影響を与えていると考えられます。

【教育における疾患の発症リスク】

教育年数 1-8 9-11 12 >12年
全疾患 2.8 2.0 1.3 1.0
1.2 1.0 1.0 1.0
消化器系 1.8 1.6 1.1 1.0
心疾患 2.3 1.7 1.3 1.0
腎疾患 2.0 1.4 1.2 1.0
肺疾患 2.4 2.0 1.3 1.0
筋、骨格筋 2.2 1.6 1.2 1.0
精神的 5.5 3.4 1.8 1.0
そのほかの疾患 2.0 1.4 1.1 1.0

11.社会的なつながりに対して積極的

彼らは他人や家族と接することを嫌がりません。友人、組織、社会と交流することに積極的です。長寿者は開放的で、また、周りに対して寛容です。
孤独ではなく、必ず、家族や親密な友人に支えられて延命している人々が多いです。
友人関係を築くことで、お互いに援助しあえるネットワークもできます。

12.愛情、友情をもつこと

愛情や友情を築くことで、人生が楽しくなります。

13.若いころからの恋愛

長寿者の多くは若いころから恋愛をし続けています。
一般的に結婚の経験をしている人が多いですが、恋愛という形態はさまざまで、恋愛に関して自由な考えをもっている方が多いです。

14.親密な家族との生活

長寿者の多くは家族と共に住むことで自尊心を高め、社会的交流を再確認することができます。
ほとんどが結婚しています。

15.自由な意志

自由であることは幸福につながり、心理学的にも健康へとつながります。
歳をとるとともに社会的な責任や子育てから解放され、自由になります。
思うがまま生きることが大切です。

16.100歳精神

人生を謳歌する。輝かしい人生。
日常生活の中で、ささいなことでも重大なことでも、できることから、人生の価値を見出し、常に新しいことを生活に取り入れ、活動的です。(例:100歳になってもサッカーのサポータをして競技場に参加する、103歳で歌手活動を行っている、など)Myrtle Little, 100歳, 1994年、サッカーチームのサポーターとしてPhoenixsにて。
(Adler LP, Centenarians: The bonus years, より引用)

Myrtle Little

17.歳を感じていない

若い精神を維持する。多くの長寿者たちは若い心と精神力を持っています。
歳を取っているとは思っていません。
「もう歳だし」という言葉は禁句です。
若い服装をしたり、自転車に乗ったりと、若い精神力を維持しています。105歳で自転車に乗るBilly Earley (Adler LP, Centenarians: The bonus years, Ed. より引用)

Billy Earley

18.神への帰依の精神

神を祈り、神を信じて生きている人が多い。

19.信仰や価値観の伝統を受け継ぐ

家族を愛する。
神を信仰する。
伝統を受け継ぐ。
道徳的な行動。
困難なときに立ち向かう態度。
毎日楽しみを見出す。
自然を愛する。
教育を重要視する。
高い道徳心を持つ。
このような信仰や価値観の伝統を受け継いでいる方が多いです。

20.安定した生活のリズムをもつ

歳をとっても、好んで仕事をする。デッドライン・タイムリミットを決めて仕事をする。
生活の質を求め、ひとときでも仕事を続けることに意義を持つ。

21.安定した一日のサイクル

早朝に起床し、仕事に出掛けることを好みます。

22.満足のゆく睡眠

長寿者のほとんどは8時間前後の睡眠を十分にとっています。

ただし、最近の報告では7時間前後が長生きできる睡眠時間といわれています。
104,010人(男性43,852 、女性60,158),40歳から79歳 Prospective study (JACC Study = Japan Collaborative Cohort Study on Evaluation of Cancer Risk ) 平均9.9年経過をみた結果です。

参考文献:Tamakoshi A, Ohno Y; JACC Study Group. Self-reported sleep duration as a predictor of all-cause mortality: results from the JACC study, Japan. Sleep. 2004 Feb 1;27(1):51-4. Department of Preventive Medicine/Biostatistics and Medical Decision Making, Nagoya University Graduate School of Medicine, 65 Tsurumai-cho, Showa-ku, Nagoya 466-8550, Japan. tamaa@med.nagoya-u.ac.jp

また一方で、8.5時間以上の睡眠は死亡率を上げるという報告もでています。
米国国立癌センターにおけるがん予防研究において、110万人以上の男女のボランティアをもとに解析した結果です。内訳は30歳から102歳です。

参考文献:Kripke DF, Garfinkel L, Wingard DL, Klauber MR, Marler MR. Mortality associated with sleep duration and insomnia. Arch Gen Psychiatry. 2002 Feb;59(2):131-6. Department of Psychiatry 0667, University of California, San Diego, 9500 Gilman Dr, La Jolla, CA 92093-0667, USA.

日比野 佐和子氏 プロフィール

医師・医学博士、同志社大学アンチエイジングリサーチセンター所属
日本抗加齢医学会評議員、WOSAAM世界アンチエイジング学会学術顧問日 本代表、Euromedicom日本支部学術顧問、日本胎盤臨床研究会理事
大阪大学医学部大学院医学系研究科卒業・博士課程修了。エイジングケアの領域におけるスペシャリストとして、皮膚科、眼科、エイジングケアと研究分野は多岐にわたる。内面、外面から「美と健康」をトータルマネージングするエイジングケアの専門家として、国内はもちろん海外でも活躍中。

■資格:
米国抗加齢医学会認定医(A4M)/ヨーロッパ抗加齢医学会認定医/日本抗加齢医学会専門医/米国先端医療学会(ACAM)キレーション治療認定医(APCT)/日本医師会認定産業医/日本臨床栄養協会認定サプリメントアドバイザー /JAA認定アロマコーディネーター/JEA認定アロマセラピスト/米国ISNF認定サプリメントアドバイザー/JNF認定サプリメントアドバイザー
■所属学会:
ヨーロッパ抗加齢医学会会員/国際ホルモン療法学会会員/日本皮膚科学会会員/ 日本研究皮膚科学会会員/米国先端医療学会会員(ACAM)/米国美容皮膚科学会アカデミー会員/米国眼科学会アカデミー会員(AAO)/米国加齢研究会会員(AAA)/ヨーロッパ長寿学会会員/ヨーロッパレーザー美容外科学会会員/日本再生医療学会会員
■その他:
米国ハーバード大学医学部生涯教育課程研究生/上海中医薬大学中医師専攻生 (中医学)

 

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