年齢を重ねることで、人によっては新たな悩みも生まれます。しかし、多くの場合は「年齢を重ねること＝悩みの原因」ではありません。加齢という現実そのものに対して悩んでいる人は稀であり、加齢によって「何がどうなったことで悩んでいる」のかを理解することが大切です。例えば「若いころと同じようにバリバリ仕事ができると思っていたのに、最近は職場でも新しい情報が多くついていけない」というのは、実際には仕事上の悩みであると考えられますし、「異性からの誘いが少なくなった」というのも、加齢のみではなく、行動範囲の変化など背景にさまざまな要因がありそうです。つまり加齢によって副次的に生じる事柄のほうが悩みの種になるわけです。もしもあなたの周りにそんな風に落ち込んでいる方がいたら、どのように接すればよいのでしょうか。
たとえば、最近老け込んで気分が沈みがちな親（または配偶者）がいるとします。このとき周囲の人は、「年をとって元気がなくなってきたな」という気持ちと、元気にしてあげたいという優しい想いから、いろいろとアドバイスをしがちです。しかし、相手の状態を理解しないままアドバイスをすることは逆効果になりかねません。また「どこかに出かけましょう」とか「一緒に何かしましょう」と誘うのも、かえって負担になる場合があります。落ち込んでいる人にとってまず必要なのは「自分の話を聞いてもらい、気持ちをわかち合ってもらうこと」です。「年だから」「更年期だから」といった決め付けをせず、まずは気分が落ち込んでいるという事実を理解し、「何によって落ち込んだ気分になるのか」をじっくりと聴いてあげることです。そうすることによって、やがて本人の心の内から「自分はこのことについて○○したい」という解決に向かう気持ちが自然に湧き上がるようになります。相手の気持ちを理解しないうちに周囲の人があれこれアドバイスするのは、むしろ逆効果なのです。
ではいつまでも気持ちも外見も若々しくあるためには、具体的にはどんなことをすればよいのでしょうか。
一例として、自分と同年代または少し上の年代で「この人はいくつになっても魅力的だな」と思うお手本になる人を見つけ、「この人のようになろう!!」とその人のイメージに近づくための行動をするという方法があります。心理学ではこの手法をモデリングといいます。ちなみに自分が憧れている芸能人のファッションや仕草などを真似するのもモデリングの一種です。
また人間は「ほとんどの出来事が予測の範囲内である」と決め付け、未知なものへの好奇心を失ったときから年を取りはじめます。新しいものや出来事に出会ったとき、わたしたちは新鮮な驚きや好奇心を感じます。そしてそのときに感じる少しの緊張感が、わたしたちの心と身体を引き締め、若々しさを保ってくれるのです。その意味では、自分の嗜好に合うものの中でもあえていつもと違う洋服を着てみる、または思い切って髪型を変えてみるなどのチャレンジをすることによっても、少しの緊張感と同時に新鮮な気持ちが得られます。
自分の心とからだの状態をしっかり把握した上であれば、物事を楽しむのに年齢を意識する必要はありません。そして加齢という現象をネガティブに捉えず、むしろ人間としてより豊かになっているんだとポジティブに考えるようにすると、気がつかないうちに外見も内面も若々しくなっていることでしょう。
（右写真）
「ホリスティックハート」
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