現代の日本において、「心の老いは重要なアンチエイジングの対象の一つになります」と言うと、皆さんは驚かれるでしょう。
しかし、ストレス社会と言われ、めまぐるしく変化している現代は、「心のケア」が重要であることと同様、「心のアンチエイジング」も当然のことと言えます。
現在「アンチエイジング」に興味をお持ちの世代は、昭和から平成にかけての激動期を駆け抜けてきた方々ですが、心の老いはこの時代背景にも深く関わっていると考えられます。この時代は産業技術が躍進し、個人レベルでも生活や仕事の面でさまざまな変化が生じてきました。動いていた体が動かなくなるというような「肉体的な老い」もさることながら、時代の潮流についていけないという部分であきらめや失望を感じ、それが「心の老い」につながってくることもあるわけです。
男性と女性では、心の老いの感じ方が違ってくることが多いようです。
男性の場合、体の老いと共に若いころのような無鉄砲な夢を見られなくなり、がっくりとしてしまうようなことはありませんか？仕事面でも成功して高い地位に就き、達成感を味わった方に特にこうした症状が出ることがあります。こういった症状を「燃え尽き症候群」といいます。
大人の分別から、若いころのようにやんちゃな夢を追うことはできない、これ以上は限界だろうという気持ちが強くなり、それが転じて何事にも一種のあきらめの感情を持ってしまうわけです。
また、こうした年代は残念ながら、自分の友人や親の死に直面してしまうことがあります。それによって、自分も死に向かっている、老化のプロセスにいるということを感じてしまい、より一層落ち込んでしまうことがあります。
こんなときは、仕事以外で自分が心から楽しめることを見つけてみる、そして周りに頼ってみることを心掛けてみるとよいでしょう。簡単なようですが、特に厳しい時代を生き抜いた方たちは、自分が努力することを当然とし、他人に頼るということを良しとしないことが多いため、なかなかこの一歩を踏み出せないことがあるようです。そんなときこそ、カウンセリングを受けてみることをおすすめします。カウンセリングとは、決して心を病んだ人たちだけのものではありません。自分を見つめなおすことで、新たな一面に気づくチャンスを自分に与えてあげてみてはいかがでしょうか。
